大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

山形地方裁判所 昭和52年(わ)6号 判決 1977年11月30日

本店(主たる事務所)所在地

山形県酒田市東両羽町三番地の一五

法人の名称

山田塗装株式会社

右代表者代表取締役

山田進

本籍

同県同市亀ケ崎五丁目六番

住居

同県同市亀ケ崎五丁目六番四一号

会社役員

山田進

昭和二年一二月二〇日生

被告会社及び被告人山田進に対する各法人税法違反被告事件について次のとおり判決する。

主文

被告会社を罰金八〇〇万円、被告人山田進を懲役一〇月に処する。

被告人山田進に対し、この裁判確定の日から二年間右刑の執行を猶予する。

理由

(事実)

被告会社は、山形県酒田市内に本店を設け、塗装・道路区画線工事業等を営む資本金七、八〇〇、〇〇〇円の株式会社であり、被告人山田進は、被告会社の代表取締役として同会社の業務全般を統括するものであるが、被告人は、尾形忠夫と共謀のうえ、被告会社の業務に関し、法人税を免れる目的で、期末たな卸原材料の一部を除外し、材料費の一部を架空計上するなどの方法により所得を秘匿したうえ、

第一  昭和四八年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が四〇、〇四〇、一九五円であって、これに対する法人税額は一四、三三〇、五〇〇円であるのに、昭和四九年二月二日、酒田市光ケ丘二丁目二番三六号所在の酒田税務署において、同税務署長に対し、所得金額が三、八三七、五八三円で、これに対する法人税額が一、〇六五、二〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により法人税額一三、二六五、三〇〇円を免れ、

第二  昭和四九年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が六三、九四六、五九二円であって、これに対する法人税額は二四、六七九、九〇〇円であるのに、昭和五〇年一月三一日前記酒田税務署において、同税務署長に対し、所得金額が五、五六七、九四一円で、これに対する法人税額が一、四六五、一〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により法人税額二三、二一四、八〇〇円を免れ、

第三  昭和五〇年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が三四、四九七、九四七円であって、これに対する法人税額は一二、七八〇、七〇〇円であるのに、昭和五一年一月三〇日、前記酒田税務署において、同税務署長に対し、所得金額が五、九九八、二八九円で、これに対する法人税額が一、五五〇、五〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により法人税額一一、二三〇、二〇〇円を免れ

たものである。

(証拠)

一、被告人の当公判廷における供述

一、被告人の検察官に対する供述調書一通及び大蔵事務官に対する供述調書一三通

一、尾形忠夫の検察官に対する供述調書一通及び大蔵事務官に対する供述調書一五通

一、山口勘治の検察官に対する供述調書及び大蔵事務官に対する供述調書各一通

一、土田好子、山口義雄、佐々木藤郎(三通)、佐藤幸二、町田篤三、佐藤正の大蔵事務官に対する各供述調書

一、尾形忠夫作成の上申書七通

一、斎藤昭子、岡住勝裕、佐々木藤郎、山口勘治、土田好子作成の各上申書

一、いずれも大蔵事務官作成の

架空材料仕入高等の調査書

給料手当等の配布計算書

簿外預金等の調査書

交際費等損金不算入額計算書

仮払金に対する利息の計算書

特別償却等調査書

貸倒金調査書

未納事業税額計算書二通

尾形忠夫が管理していた裏資金の出納調査書

脱税額計算書三通

一、押収してある総勘定元帳三綴(昭和五二年押第二二号の一ないし三)、法人税の確定申告書三綴(同号の四ないし六)、決算メモ一綴(同号の七)、給料明細書(同号の八)、給料明細表一綴(同号の九)、ノート(同号の一〇)、在庫調査書等綴(同号の一一)、メモ(在庫調査と記載されたもの三枚、同号の一二)、会計伝票四綴(同号の一三ないし一六)

一、商業登記簿謄本

(適条)

(一)  被告人の判示各所為につき法人税法一五九条一項、刑法六〇条

(懲役刑の選択)

(二) 被告会社の処罰につき法人税法一六四条一項

(三) 併合罪の処理

被告人につき刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情最も重いと認める判示第二の罪の刑に法定の加重)

被告人につき刑法四五条前段、四八条二項

(四) 懲役刑の執行猶予 刑法二五条一項一号

検察官永田俊明出席(被告人につき懲役一年、被告会社につき罰金一、二〇〇万円求刑)

(裁判官 小林啓二)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例